老後の住居を「持ち家」にするか、それとも「賃貸」にするかは大きな問題です。
住居は生活に無くてはならないものですが、その在り方は人によって様々です。
それぞれのメリットやデメリットの徹底比較だけでなく、第三の答えまで解説していきます。
人生における支出の中で、三大支出と言われる「住居費」「教育費」「老後資金」。
近年、老後2000万円問題が大きく騒がれたこともあり、老後の生活におけるお金について若いうちから考えておかねばならない事であるという認識が強くなりました。
そんな三大支出の中でも、特に金額が大きくなるのが「住居費」です。
家計の中でも固定費として発生する金額が大きく、長期に渡って続く支出となります。
また、住居費は「持ち家」か「賃貸」でも負担すべき内容が変わるため、長い目で見た判断が必要になるのです。
①初期費用
一般的には持ち家を購入する方が初期費用負担は高くなります。
持ち家
頭金やローン費用、不動産所得税、登記手数料、物件仲介手数料などの諸費用が発生します。
相場として、物件価格の3~10%程度が初期費用として必要になります。
仮に3000万円の持ち家であった場合は90~300万円程度の初期費用負担となります。
賃貸
敷金、礼金、仲介手数料などの諸費用が発生します。
月額家賃をベースとして5ヶ月分程度が上限となっているため、月額家賃によって大きく異なります。
仮に家賃が10万円の賃貸物件の場合は50万円程度が上限となるため、間取りや面積が同じような物件と持ち家とを比べると初期費用は抑えられます。
②毎月のローン返済と家賃負担
持ち家の場合、現金で一括購入ケースは珍しく、住宅ローンを組むのが一般的です。
そのため、持ち家は毎月のローン返済、賃貸の場合は家賃の負担が必要になります。
持ち家
前述のように、住宅ローンを組んで持ち家を購入した場合、毎月のローン返済が必要です。
しかし、ローンを完済すれば毎月の支払いは無くなるため、負担も無くなります。
ただしローンにはリスクがあり、ローンの完済までに収入が減ったり、生活水準の変化などで返済が困難になるとします。
返済が困難な場合に持ち家を売却したとしても、住宅の価値が下がっていると売却が難しい場合や、売却できてもローンの全額返済が出来なかった場合、住居を失った上でローンが残るというリスクがあります。
賃貸
賃貸は毎月の家賃支払いが発生し、ローンのような完済はないため、住んでいる限りは家賃を支払い続ける必要があります。
賃貸には住宅ローンのようなリスクはないため、生活が苦しくなった場合には、家賃の安い物件に住み替えることで生活の維持ができます。
③維持・修繕費などの諸費用
住宅の維持にかかる費用や、修繕にかかる費用なども差があります。
主なもので、固定資産税、火災保険料、メンテナンスなどの費用です。
持ち家
持ち家の場合、維持や修繕に必要な諸費用も全て自己負担となります。
固定資産税は土地や家屋などの固有資産の所有者に課せられる税金で、持ち家を所有した時点から毎年納付が必要になり、住宅ローンを完済しても支払いは継続します。
火災保険料は建物及び家財にかけるため、賃貸と比べて負担額は大きくなります。
建物のメンテナンスなどの費用も自己負担のため、修繕が必要な場合には都度費用が発生します。
マンション等の集合住宅の場合には、管理費や建物の診断や修繕工事を行うために充てられる修繕積立金の負担があります。
賃貸
賃貸の場合、建物は所有していないため固定資産税は発生しません。
火災保険料も家財のみになるため、建物分を負担しなくても良い分安価に抑えられます。
メンテナンス費は自然故障である限り物件のオーナー負担ですが、故意による破損などは敷金から修繕費が支払われ、不足した場合には住民負担となります。
それぞれの資産価値は?
住み替えや引っ越しの際にはどうすれば?
不動産には資産価値があるため、所有していれば資産を残すことができます。
持ち家
持ち家はローンを完済することで建物や土地が資産として残ります。
資産の売却によって資金を得たり、子供に財産として残すこともできます。
住み替えや引っ越しの際も、資産を売却して次の住居費に充てることもできます。
ただし、売却先が見つからない場合や、ローンを完済していない場合の売却は売却額によってローンが残ることがあります。
持ち家の場合は資産形成には向いていますが、簡単には住み替えや引っ越しができないリスクがあります。
賃貸
賃貸物件には資産価値は無く、家賃を支払い続けても自分の資産になることはありません。
ただし、ライフスタイルが変わったり家族構成が変わった際に容易に住み替えや引っ越しができます。
転勤が多い人にとって持ち家は重荷になりますが、賃貸の場合はそういった問題はありません。
老後を考えた場合に、長く住むメリットやデメリットもあります。
持ち家
持ち家の場合、水回りや生活空間のバリアフリー化など、世帯構成や住民の年齢に合わせたリフォームが自由に行えます。
リフォームにはもちろん費用は発生しますが、ローンを完済していれば固定費が大幅に安くなるため、住み慣れた家を住みやすい環境にリフォームして生涯住み続けることができる安心感があります。
賃貸
賃貸物件は原則としてリフォームができないため、バリアフリー化などの老後でも暮らしやすいリフォームはできません。
また、不動産会社やオーナーの都合で賃貸契約が継続できない場合があり、突然住居を失うこともあります。
安定した収入があれば別の賃貸物件を探すことができますが、高齢の場合には収入や連帯保証人の問題などで新たな物件を借りることが困難となる場合があります。
公的年金以外の収入や貯蓄額の提示、家賃保証会社の利用など、老後も賃貸で住み続けるには家賃の支払いが滞らないように備える必要があります。
残念ながら、この問いにはすべての人に当てはまるような回答はありません。
仮に、ローンで支払う持ち家の総額と80歳まで賃貸に住み続けた家賃の総額が同じであったとしても、どちらが良いという答えは個々人の収入やライフスタイルなどによっても変わります。
持ち家という資産を持つことで慣れた生活環境という安心感と老後の蓄えになるというメリットと、賃貸と比べて高額な維持費やメンテナンス費などの負担というデメリットがあります。
賃貸を選んだ場合、費用負担は持ち家よりも抑えられるメリットがあるものの、住居をリフォームできないことで長く同じところに住み続けることが難しくなることや、老後に住み替えを行う場合の敷居が高いというデメリットがあります。
定年後も働き続けたり会社経営などで安定した収入が得られるのであれば、答えも変わってきます。
老後の生活をイメージして、自分の思い描くライフスタイルに合った選択と、早めの準備が必要となるのです。
近年、子供たちが親元を離れて生活する核家族化に伴い、親の建てた持ち家を子供が相続しないというケースが増加しています。
そんな相続しない持ち家を使った選択肢が、持ち家を売却したり担保にして資金を得るという方法です。
ただし、売却してしまうだけでなくひとつは、持ち家を売却し、その上で持ち家だった建物を賃貸借契約して住み続ける「リースバック」。
これは売却した費用を一括で受け取ることができる「不動産取引」の一種です。
もうひとつは、持ち家を担保にして融資を受け、融資を受けた分は契約者の死後に不動産の売却によって返済する「リバースモーゲージ」。
これは不動産を担保に融資を受けるという「金融サービス」の一種です。
いずれもそれぞれのメリットやデメリット、利用できる条件や制限があるなど、無条件で利用できるものではありませんが、持ち家を相続する人が居なければ検討できる第三の答えになります。
老後の生活に「持ち家」と「賃貸」のどちらが良いのかは、その人のライフスタイルや世帯構成によっても異なります。
持ち家という資産があることがメリットにもデメリットにもなる点も、事前に把握していれば将来の人生設計にも影響はあるでしょう。
また、近年では賃貸物件の中に「高齢者専用賃貸住宅」という、病気や高齢で体が不自由になるなど介護認定が無いものの軽度の介護が必要な人向けの賃貸住宅も登場しています。
これにより、持ち家を時間や費用をかけてバリアフリーにリフォームするよりも、すでにバリアフリー化された賃貸住宅に住み替えるという人も増えています。
入居の条件を満たすのであれば、持ち家を売却して賃貸に住み替えるという選択も良いかもしれません。
人生設計の中で老後の住居について、早めに考えておく方が良いでしょう。
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