不動産売却で必ずといっていいほど起こるのが値引き交渉です。
買い主はできるだけ安く購入したいため、値引き交渉があるのはごく自然なことでしょう。
しかし売り主側からしてみれば、高く売りたいのが本音です。
ではお互いが納得できる取引をするためには、どうしたらいいのでしょうか?
ここでは不動産売却を検討している方に向け、値引き交渉の例や心構え、交渉されたときの対策を見ていきます。
不動産売却では値引き交渉を受けなければならないのか?
不動産売却において、値引き交渉があるのは普通のことです。
買い主は可能な限り安くしてもらいたいという要望を持っていることがほとんどなので、値引き交渉があるということを前提考えておくとよいでしょう。
しかし売り主としてはできるだけ高く売りたいもの。
売り主が値引き交渉に応じなければ、話は平行線のままで契約に至らないかもしれません。
売却をスムーズにおこなうために、以下のポイントをおさえておきます。
相場を知っておく
売却したい不動産にどのくらいの価値があるのか、周辺の物件はいくらで取引されているのか、相場を明確にしておきましょう。
相場を知っておけば極端に安い金額で売却することを防げますし、値引き交渉にも応じやすくなります。
売り出し価格を決める際は売却の目的を金額に反映させる
なぜこの不動産を売却したいのか、理由を明確にしておきます。
「売却利益で新築を購入したい」「安くてもいいからとにかく早く売りたい」「時間がかかってもいいから希望価格で売りたい」など、売却に対する思いは人それぞれです。
売却の目的をしっかり金額に反映させておけば、おのずと売り出し価格が決まってくるでしょう。
必要なコストを知っておく
不動産の売却にはさまざまなコストがかかります。
仲介手数料や登記費用、税金など、売却するための必要経費を計算しておきましょう。
経費を知っておけば売却利益が見えるので、値引き交渉されたときにも慌てずに済みます。
不動産売却では値引き交渉が当たり前とお話ししましたが、いざ交渉されると身構えてしまいますよね。
値引き交渉をそつなくこなすためには、例や心構えをおさえておくのがポイントです。
不動産売却で起こりうる値引き交渉の例として、以下のことが挙げられます。
売り出し後、長く売れない物件は交渉される可能性が高い
売り出してから数カ月経過した不動産は、値引き交渉をされやすいです。
そのため内覧者が出たら、値引き交渉をされると思っておきましょう。
築年数や立地、周辺相場などを考慮し、価格が見合っているかどうかチェックするのもおすすめです。
売り主に有利な条件を出されることもある
値引き交渉の例として、売り主に有利な条件を出す買い主がいます。
「値引きに応じてくれたら契約日を早くする」など、売り主にとってみたら早く売却ができるので助かりますよね。
提示される条件は買い主によって異なりますが、例として売り主側にもメリットが発生する値引き交渉があるということを覚えておきましょう。
値引き金額の目安は?
値引き金額の目安は、物件の売り出し価格によって異なりますが、一般的には100万円以下が目安です。
相場を知っておけば交渉されたときに悩まなくて済むので、ぜひ覚えておきましょう。
では、不動産売却で値引き交渉をされた場合、どのような対策を講じればよいのでしょうか?
売却時の交渉対策テクニックとして、以下のような内容をおさえておきましょう。
買い主の予算もしくはここまでだったら出せる金額を聞く
たとえば売り出し金額から100万円の値下げ交渉をされたとします。
そこで売り主がOKを出せばそのまま売却が成立しますが、少しでも高く売りたいと思う売り主にとって後味の悪い契約になってしまいますよね。
そのようなときは、「半額の50万円を値引きではいかがでしょうか?」と聞いてみるのが対策の1つです。
そのときの反応がもしよければ、50万円の値引きでも購入意思があるとみなしましょう。
しかし買い主はあくまでも100万円の値引きを求めているので、50万円では契約に至らないかもしれません。
その場合は「いくらぐらいの不動産を検討していますでしょうか?」と話し、買い主が出せる最大の予算をさりげなく聞いてみます。
「いくらまでなら出せますか?」など、単刀直入に予算を聞いてしまうと、買い主によっては気分を悪くする方もいるので注意してください。
引き渡し時の条件を伝えてみる
値引き交渉の対策として、引き渡し時の条件を出すのもおすすめです。
不動産の引き渡しは、一般的に現状のままおこなわれます。
居住中の不動産を売却するなら、照明器具やカーテン、エアコンなどをそのまま引き渡すことで、値引きをしなくて済むかもしれません。
現状のまま引き渡されたあと、照明器具やカーテン、エアコンなどを1度取り外し、新しいものを取り付けるとなると、意外に大きな出費となります。
買い主に「お得だな」と思わせるのも、値引き交渉の対策です。
家具や家電といった付帯設備とともに引き渡す場合は、トラブルを避けるために動作確認や製造年月日などを買い主に伝え、お互いが納得したうえで決定してください。
売り出してからすぐの値引き交渉には応じない
値引き交渉の対策として、売り出してからすぐの値引き交渉には応じないという方法があります。
物件によっては、売り出しをはじめてすぐに購入希望者が現れるかもしれません。
内覧後すぐに値引き交渉をされた場合、購入意思がとても強い買い主といえます。
ということは、「この不動産は良い物件で購入希望者がほかにもいる」と考えられるでしょう。
売り出し後にすぐ値引きしてしまうと、「もう少し待てばもっと下がるかも」と考える方がいるかもしれないので、売り出し後すぐの値引き交渉には応じないのが得策です。
大幅な値引き交渉は断ってもOK
赤字になってしまうような大幅な値引き交渉をされたときは、断ってしまうのが対策です。
買い主の気持ちのできる限り寄り添い、スムーズな売却をするために値引きをするのですから、売り主が疑問に思うような大幅な値下げ交渉はしっかり断りましょう。
また安すぎる金額を提示されると、「思い出が詰まったマイホームなのにそんな安く売れない!」「こんな人には売りたくない」と感情的になりがちです。
感情的になったところで契約が成立するわけではないので、安すぎる金額を言われても冷静でいてください。
なぜその金額を提示してきたのか理由を聞き、正当であればよく話し合ってみましょう。
理由が不当であれば、断ってしまってOKです。
売り出し価格を高めに設定する
値引き交渉されることを前提に、売り出し価格を高く設定するのもおすすめの対策です。
あまり高くすると売れない場合もあるので、周辺相場をよくチェックし、売れそうな金額を設定してください。
不動産は購入希望者が1人いればよいので、「誰が見ても安い!」という金額を設定する必要はありません。
値引き後の金額が希望価格になるよう、設定してみてください。
この記事では不動産の売却を検討している方に向け、値引き交渉の例や心構え、対策について詳しく見ていきました。
値引き交渉を前提に売却活動をおこなえば、いざというときにも安心です。
不動産売却や売買における値引き交渉の起こりうる例を想定し、スマートな対応を心がけましょう。